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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜教

ひでくみ

 

 「今度は蜂蜜教?」
 結婚したばかりの頃、私が選ぶ調味料は全てと言って良いほど業務用サイズで、たくさん使うのだからコスパ命!という主婦だった。例えばすりおろし生姜やにんにくも1kg入りを常備。惜しみなく使えるメリットと引き換えに、「また○○大量に入れたでしょ…」という夫の呆れ顔に付き合わなければならない。
 私はそれで良いと思っていたし、節約になれば家計も助かる。蜂蜜も同じノリで購入し、砂糖代わりにバシバシ使っていた。夫は私の様子を見て、にんにく1kgを買ってきた時はにんにく教(宗教のように)、蜂蜜の時は蜂蜜教に入ったの?と言って笑っていた。
 お砂糖より、蜂蜜を使うと料理のコクが出るし、より自然な甘みを楽しめるから好きだ。難点は大きいサイズを買うと、使い切る前に白く固まってしまうこと。そんな時は濃い目のコーヒーを容器に入れ、シャカシャカと振り、カップに注いだら温めた牛乳を入れ、コーヒーチェーンのハニーラテをタダで飲めたオトクな気分になる。
 結婚して15年目に突入。もう業務用サイズの調味料は買わないけど、1kgの蜂蜜をお店で見ると当時を懐かしく思い出す。

 

(完)

 

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